サロンコンサートレポート:森淳一(入谷、秋葉原、渋谷、八王子担当)&Luala Guitar&Ukulele ~真夏の調べ~
7月と言うのにもはや盛夏の趣、酷暑の土曜日に、入谷の小さなスペースに爽やかな風が吹き抜けるような心安らぐ楽器の響き、そして歌。
毎回緊張感みなぎる演奏会が開催されてきたこのアウラサロンコンサートシリーズで、今回は ~真夏の調べ~ と題されたクラシックギターとウクレレによる、とてもリラックスして音楽を楽しめる演奏会が開かれました。
アウラ音楽院講師でクラシックギタリストの森淳一さん、そして多彩な楽器を演奏されますが今回はウクレレプレーヤーとして、ヴォーカル&ギターの田中志保さんとのデュオ ‘Luala’で参加された今津未央さん、この3人による、多彩かつ充実したプログラム。
コンサートは今津未央さんのウクレレソロで開始。
もはやソロでウクレレを演奏するのも珍しくなくなったとはいえ、グレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」やJ.S.バッハの「G線上のアリア」を、その多旋律をこうも見事に弾き切ってじっくりと聴かせてしまう演奏はさすが。
田中志保さんの歌とギターを加えてのLualaとしての演奏で聴かせるハワイアンの名曲では、そのボサノヴァ的な歌唱が曲の興趣といかにも良く合って、これも深く染みいるパフォーマンス。しかしここで興味深い武満徹の「小さな空」の編曲が演奏され、声と言葉、楽器の音色それぞれが決して重くならず、それでいて深い響きとアンサンブルとして聴かれるのは何とも貴重な体験。
曲に合わせて独奏、デュオ、トリオと編成を変えて展開されるプログラムの中でも、今津さんと森さんがウクレレを演奏するうえでとても大きな影響を受けたというハーブ・オータさんのオリジナル曲は、2人の尊敬の念と曲の情感とがあいまってこの日の白眉とも言える演奏。
森さんはクラシックギターの独奏でヴィラ=ロボスの前奏曲第一番、ショーロス第一番、そしてアントニオ・ラウロのベネズエラワルツなど2曲、最後はアルベニスのセヴィーリャと南国の雰囲気で統一した曲目を披露。
忘れてはいけないボサノヴァの名曲も、この日はギターショップアウラの展示品からマヌエル・レジェス1世のフラメンコギターをセレクトしての演奏。あまりにも有名だが、何度聞いても心地よい「イパネマの娘」「メディテーション」「トリステーザ」「サマーサンバ」を演奏。それぞれの曲紹介のコメントも、笑えるけど見事に的を射て楽しい。
適度な緊張感を最後まで持続させる演奏ながら、聴き手の心を開放するような大らかさが、コンサートを終えた後も心地よい余韻となりました。
Luala はこの夏ファーストアルバムを発売。この日のコンサートでの演奏の充実をしっかりパッケージしたような素敵な内容です。ぜひこの夏のBGMに!
コンサート終了後、ギターショップアウラ入口での一枚。左から今津未央さん、森淳一さん、田中志保さん。素敵な演奏を有り難うございました!!